雄安新区(ゆうあんしんく、XIONG AN NEW AREA、しおんあん にゅーえりあ)とは、「千年大計・国家大事」として、2017年に発表された壮大なプロジェクト。習近平国家主席の肝いり、深圳特区、上海浦東新区に次ぐ、21世紀初めての全国規模の新区構想である。
北京の南西約100kmにある河北省の主に雄県、容城県、安新県の三つの町村にまたがる地域に設定されている。2022年に行われる北京の冬季五輪では、一部の競技がこのエリアで開催されることも決まっている。
その2022年までに基礎インフラを整え、最終的な面積は東京都に匹敵する2000㎢、将来の人口は200万人以上を見込み、総投資額は2兆元(約35兆円)とも試算される。
その2022年までに基礎インフラを整え、最終的な面積は東京都に匹敵する2000㎢、将来の人口は200万人以上を見込み、総投資額は2兆元(約35兆円)とも試算される。
ただしこれは、日本メディアの保守的な判断であり、人口は500万人を越えてはならない、投資総額は10兆元(約175兆円)を越える、とも、あくまでも中国現地では強気だ。
日本のメディアの判断が正しいのか、中国の姿勢が正しいのか、難しいところだが、少なくとも20年前、現在の中国の状況を正確に指摘していた日本のメディアは皆無である。
なお、この新都市において、人口を抑制しなければならない、という背景には、中国ではもちろん、世界でもほぼあり得ない、不動産価格抑制を最初から計算に入れて都市設計されている点で、もうすでに不動産開発や投機は厳禁のお達しが出ている。
スマートシティ、5G、ビッグデータ、AI、IoT、IoVなどコンピューター関連産業、それらとも連なるスマートカー、自動運転産業、医療、教育、環境などの方面で、今までの中国の他の都市には見られない、完全に計画されたイノベーションセンター都市として建設される見込み。
中国IT巨頭BATJが揃って本腰なのも話題。Baidu(バイドゥ)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、JD.com(京東集団)だ。時に、BATとも。北京(Baidu)、杭州(Alibaba)、深圳(Tencent)の資金や技術などが結集される可能性がある。
もっとも、本気なのは、地の利があり、実際の利益も大きいと考えられるBaiduのみで、他は国策へのお付き合い、という側面がないわけでもなさそうだが、そのあたりも含めて、今後の展開は要注目である。
究極的には、不動産価格の高騰がなく、中国が強硬に進めるEVなどによって、排ガスもなく、発電はすべて再生可能エネルギーで賄う、ことまでもすでに検討されている。北京市に近く、もともと大気環境は悪い地域で、現在はその改善が当地域の環境政策の目安になっている。
環境については、中国の今までの都市ではありえない、これも最初から緑化を念頭に入れた都市設計が行われており、巨大新造都市でありながら、もともとの白洋淀(はくようてん)という沼沢の水資源も有効に活用しつつ、植樹にも力を入れており、自然に近い形での植林もビジネスとして推し進めている。